税理士の選び方について

会社における税理士の役割はどんなものですか

税理士は、「税金のプロ」として、会社や個人事業主の税金に関連する多くのことを対処する専門家です。納税申告は納税者本人が行うことを原則としますが、税金の仕組みは複雑ですから、税務代理人たる税理士と顧問契約結ぶことが一般的です。

以下は、税理士としての通常行う業務の概要です。

1. 税務申告・税務相談(税理士法上の独占業務)
◇税務代理:法人税の申告書などを、納税者に代わって申告・申請します。
◇税務書類の作成:税務署等に提出する税務書類(申告書など)を納税者に代わって作成します。
◇税務相談:税金の計算や必要な手続きなど、税務の相談を行います。

※ いずれも税理士のみに認められるもので、他の者(行政書士、社労士、会計センター等)が行なえば税理士法違反となります。

2. 経理指導又は経理アウトソース(記帳代行)
◇経理指導:会計の帳簿が間違ってないかなどの定期的な確認や、仕訳入力のアドバイスなどを行います。
 また、会計ソフトの操作方法などもアドバイスします。
◇経理アウトソース:決算書・試算表等税務申告のもととなる資料の作成を会社に代わり行います。

その他にも、税務調査への対応や節税対応などがあります。
また、会社のことを良く知る立場として、財務アドバイスや経営コンサルティング的な業務を補完的に手がける税理士もいます(ただし、決して多くはありません)。

税理士と顧問契約をするメリットはどこにありますか?

会社が顧問税理士に期待する役割の大きな部分としては、やはり税務調査対応と節税対策・アドバイスがあげられます。

約3年に一度行われる税務調査は、基本的に納税者自身が対応するものですが、税務代理人である税理士ならば調査に立ち会うことが出来ます。また、大きな負担になる税務署等とのやりとりの窓口を税理士に任せることも可能となり、会社の負担が軽減されることになります。

(ただし、税理士によっては、税務署側の見解に寄りすぎる立場を取られる先生もいて、「どちらの味方かわからない」とする不満をよくお聞きすることがあります)。

また、「節税対策」も顧問税理士に期待される大きな役割です。例えば、決算締め後に初めて多額の利益を把握してからでは、なんら節税対策は出来なくなります。良い顧問税理士であれば、期首の段階から計画して節税対策を行い、また、月次においても定期的に会社の損益状況を確認し、的確に節税対策のアドバイスを行います(もちろん、正しい節税をアドバイスするのが重要であり、脱税を指南するようなアドバイスを行うことは決して認められてるものではありません)。

その他に期待される役割としては以下のようなものがあります。
◇起業支援:企業に関する様々な相談を行う事が出来ます。
◇融資支援:単に銀行を紹介するだけでなく、事業計画書作成のアドバイスなども行います。
◇再生支援:過剰債務などで銀行対応などに苦慮するお客様に、事業再生に関する様々なアドバイスを行います。

自分の健康(=会社の経営状態)をかかりつけの医者に相談するように、税金のみならず各種経営課題を相談する身近な相手先として、とりわけ中小企業の経営者の皆様から、顧問税理士に対しては様々な役割を期待されています。

小さな会社ですが関与は可能ですか

当事務所は、創業支援、ベンチャー企業支援も手がける経営支援型の会計事務所です。会社の規模や業種に拘わらず、ご対応させて頂きます。関与すべき業務範囲については、依頼者様とご相談上、適切に取り決めさせて頂きます。

公認会計士事務所と税理士事務所の違いは何ですか

恐らく、一般の方がこの違いを理解するのは難しいと思います。

分かり易くいうと、公認会計士が独立した事務所を営む場合、多くのケースにおいて税理士業務を手掛けることになりますから、「公認会計士・税理士事務所」と表記することになります。公認会計士にイメージされるのは、上場会社の監査を行う専門家となりますが、そもそもの業務範囲には税務業務も含まれています。そのため、監査+税務サービスを行う事務所というのが正しい理解となります。

当事務所においては、会計監査および、財務アドバイスや再生支援アドバイスを行う部門は公認会計士事務所として位置づけており、税務申告や税務アドバイスを行う部門を税理士事務所として位置づけています。いずれにおいても、有機的一体で機能し運営していますから、お客様からのご依頼やご相談について、サービスの品質やクライアント対応が特段変わるものではありません。提供する専門サービスが、税務業務かそれ以外かの違いによるものです。

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会社設立支援サービスについて

会社設立支援をアピールする税理士が多いのは何故ですか

税理士の業務拡大機会として、まずは既存会社の顧問税理士変更によるものがありますが、その他、創業する個人が設立する会社に新規関与するものもあります。既存会社の税理士変更は、それなりの理由やキッカケがないとなかなか難しいのですが、創業時の新設会社にはあまりしがらみがないから、割と自由に顧客獲得が可能になります。

そのため、本来業務でない会社設立の支援業務(=定款作成から登記申請、法人格取得まで一連の手続きを支援、代行すること)に力を入れて、その後の顧問税理士契約確保を目論みます。特に、顧客基盤の薄い開業間もない税理士などは、このような新設会社立ち上げ分野に注目して顧客確保を目指すことが多いです。

ただし、近時はこのような発想が税理士の多くに浸透していますから、競争激化が進み、「設立手数料無料!」などと称したキャッチコピーにてコストメリットを強調する動きが活発化しています。

貴事務所は何故「設立手数料無料」としないのですか

確かに良い質問ですね。

とはいえ、税理士業務を含む専門家サービスは価格競争に馴染むものではありません。世界的に見ても、専門家サービス=タダを謳う国は殆どないとでしょう。理由としては、質の高い専門家サービスを提供するにはそれなりのコストが掛かるからです。

そこで当事務所では、会社設立に関して、電子登記申請における優遇措置(印紙税や登録免許税の優遇)から生じる削減相当額(4.3万円)を報酬として依頼者様から頂くことで、会社を設立する方へコストメリットの還元をいたします。

結局、創業者自ら登記申請等を行い会社設立場合と掛かるコストは一緒ですが、会社設立に慣れた税理士が関与することで時間的制約などから解放され、創業者にとってより次元の高い業務を優先させることがビジネス的なメリットとなります。

世間で謳う会社設立の「手数料無料」ないし「手数料割引」の殆ど全ては、この税制上の優遇措置から生じる軽減部分を、あたかも専門家が自ら負担したかのごとく宣伝し、会社設立時のコストメリットを強調するものですが、正しいアピールではありません。

当事務所は、設立時の事業計画策定から、資金調達支援、更にはその後生じるであろう様々な経営課題への対応を含めた経営支援型会計事務所を指向しています。そのため、本気でお付き合い頂けるご依頼者様と真剣に向き合うためにも、適正な業務報酬を請求させて頂いています。

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資金調達支援サービスについて

他の者(行政書士、コンサルタントなど)による資金調達支援業務と税理士が行う業務との違いは何ですか

銀行融資に関する資金調達支援業務そのものの目的は皆同じです。融資を獲得すれば一義的な目的達成となります。

税理士による資金調達支援は、日常の顧問業務を通じて密接にお客様の財務(月次決算、年次決算)に接する立場ゆえ、より現実味のある、かつビジネスを理解したサポートを行えるメリットがあります。本当にお客様のことを考える専門家ならば、資金調達の相談をされたとしても、先ずは日常の資金繰りに改善余地はないかを分析し、また、業務において資金効率を改善させる可能性がないかを分析した上で、資金調達の検討に取り掛かります。

極論を言うと、無理した事業計画を用意して、表面的に綺麗な資金繰りプランさえ出来れば、資金調達は出来るものです。しかしながら、今後1年から数年の見込において本当に無理なく返済しうるか、更には営業におけるリスクシナリオが生じた場合の返済対応も事前検討すべきか、など各種リスク要因を考慮して資金調達を実施すべきです。

他の者においては、資金調達完了後の経営リスクまで面倒を見ることは立場上難しいです。税理士であれば、資金調達後も顧問の立場で財務状況を常にモニターしますから、経営リスクに対する安心感・安定感はより高まります。

貴事務所の資金調達支援サービスの特徴はどのようなものですか

当事務所は、上場企業のファイナンスから、M&Aにおける買収資金調達、MBO/LBOローン調達など複雑な資金調達、さらには多くのベンチャー企業のファイナンス支援を手掛けてきた実績があります。そのため、通常このような業務で主にカバーする銀行融資対応よりも広範囲な資金調達にまで対応出来る点が特徴です。

もっとも、中小企業の皆様においては、もっぱら銀行融資が中心となりますから、そちらにおいては、正しい決算書の作成とそれに基づく合理的な事業計画・資金繰り計画の策定、更には資金調達後の適切なモニタリングを通じた資金効率改善アドバイスなどに力を入れています。

赤字企業においても資金調達は可能でしょうか

難しい質問ですが、一概にNoとは言えません。

過年度における赤字の要因が何によるかをしっかりと見極められるならば、今後の事業計画で黒字化を合理的に説明し、借入資金の弁済が約定に従い実行しうることを丁寧に説得できれば、調達の可能性は見込めます。

当事務所では、銀行側で”不良債権”と認定した融資先企業の財務分析を多数手掛けており、健全企業とそれ以外の企業に対する融資判断がどのように異なるかを十分熟知しています。そのため、健全な赤字企業であると見極められるならば、正々堂々と資金調達の交渉に臨むことが出来ます。