「税理士の選び方」で検索するといろいろ悩みます
ネットで「税理士の選び方」を検索するといろいろなサイトが出てきます。税理士の選び方に関して特に決められた方法論がある訳でなく、それぞれのサイトが思い思いのことを書いていますから、逆に何を基準にすれば良いのか迷ってしまいます。
ただし、選択のヒントとしては、検討する皆様の一番重視するものが何であるかを再確認することです。コスト、サービス、地域、あるいはサービス領域(例えば「相続」)など、ご自身が最も気になるものを最優先に検索することでしょう。ネット検索における近時の流れでは、複数キーワードにて対象サイトを検索することが一般的になっています。そのため、”税理士” ”経営アドバイス” “資金調達” などのキーワードにてまずは検索することをお勧めします。
税理士の選び方について大きくは3通りあります
大きくは、①知り合いからの紹介、②ネットで検索、③紹介会社の利用の3通りとなります。
以下、それぞれのメリット・デメリットを比較してみました(※ クリックすると展開します)。選択方法 | 特徴・メリット | 留意事項・デメリット |
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知り合いからの紹介 | 一番王道といえる手法です。どんな専門家領域でも、紹介・口コミがもっとも確実かつ効率的なアプローチになります。大概は、経営者の知り合い(他社経営者、取引先など)からの紹介を得ることになります。紹介者が紹介する税理士を良く知っている・取引したことがある、などの背景がありますから、業務への信頼性、費用目安などについては一定の安心感があります。 | 良く言われるのは、紹介を受けると「断りにくい」というデメリットがあるとの点です。紹介者が気に入っているとしても、依頼者自身が同じように気に入るとは限りません。 |
ネットで検索 | 冒頭説明したように、「税理士」「千代田区」などと検索すると様々なHPが出てきます。それぞれをよく見て、漠然とですが気に入ったHPの税理士にコンタクトするのが大きな流れです。ネット対応に力を入れている税理士ならば、それなりにしっかりした内容(例えば特徴、重点業務領域、費用目安など)を開示していますから、選択の絞り込みがそれなりに可能となります。 | 他方、ネット対応も一般化していますから、溢れる税理士HPのどれを最終的に選択すべきか、かなり悩むのも事実です。ネットの場合、「格安」「初年度半額」などといったキャッチコピーを前面に出し、コストメリットを強調することが多いですから、依頼者もいわゆる ”価格.Com” 的発想で価格比較を基準に選びがちになりますが、専門家の善し悪しは価格基準で判断すると大きく誤る場合もありますから注意が必要です。 |
紹介会社の利用 | 最近の流れとして、どんな業種でも比較サイトが溢れています。税理士業界においても同様に紹介会社が関与して、「あなたに合う税理士を見つけます」とする宣伝が盛んに行われています。選び方も、地域、世代、費用目安など一般的な選択項目をソートして幾つかの候補を提示し、依頼者に選択肢与えるという流れになります。「紹介料無料」を謳いますから、手軽さとしては非常にメリットがあります。 | 専門家サービスは、家電安売りのごとく比較されるものではないから、紹介会社のリストにあるものが本当に良い税理士となる保証はありません。また、紹介料無料=登録録税理士から紹介料徴収の関係があり、最終的にはお客様となる依頼者に価格転嫁されることになります。登録税理士の専門家としての品質保証がどの程度なされているかについても不安があるのも事実です。 |
一般的にいえるのは、やはり人からの紹介によるものが主流を占めることです。専門家サービスは属人性や地域性が高く、税理士においても当てはまります。特に、税理士に不満を有して変更を検討されている方ほど、知人からの紹介により信頼できる税理士を見つける割合が高まります。
また、専門領域(国際税務、組織再編、企業再生、また相続)において税理士を探す場合には、他の専門家などからの紹介が殆どとなります。
専門家の選び方に関する一般的概念と税理士サービスの関係
個人または法人が何らかの事案を専門家に依頼する場合、一般概念ですが、次の3つのポイントに注目して選択することになります(例えば、医者、家を建てる場合の建築家、経営コンサルタントなどの専門家を想像下さい)。
①専門性/専門領域(※ クリックすると展開します)例えば、建築家を探すにしても、戸建て住宅(和風、洋風のどちらが得意か)専業か、商業施設重視か、モダンな設計重視か、コスト重視の設計かなど、それなりに拘った選別を行うのが通常です。
また、専門家の経歴、実績(”トラック・レコード”ともいいます)などが開示されているならば、それはそれで非常に参考になる情報ともいえます。著作物なども同様に参考情報として有益です。
とは言え、気になる専門家の全員にコンタクトして見積りをもらう作業は考えるだけでも大変です。また、見積り依頼してしまうと断るときの対応も考えないといけないので、尚さら躊躇してしまいます。
そのため、完璧ではないにせよ、ある程度想像のつく費用・報酬体系が開示されていると、簡易選別の段階で一定のふるい分けが可能になりますから効率的です。
いずれにしても、最近は、ネット検索で専門家の相場レベルがある程度分るようになっていますから、まずは情報収集してみるのも一つの方法でしょう。
専門家サービスの種類によっては、距離感を気にせず依頼することが出来る業種もあります。実は、税理士業務なども、そういった距離感に拘わらずサービス提供が可能な業種の一つなのです(実際に、当事務所でもそういったお客様がいらっしゃいます)。
税理士サービスに関して、①専門性/専門領域についてはそこそこ世間的理解がありますから、選別過程において悩む可能性は低いといえます。従って、多くの場合、②コスト、③地域を重視した選択が行われがちになります。
また、税理士紹介サイトないし税理士自身のHPにおいても、「コスト重視!」などを謳う先も少なくありません。
しかしながら、会社経営者にとって一番身近な専門家たる税理士こそ、契約後のお付き合いを考えるなら、より慎重に各種判断要素を考慮し選択すべきです。
当事務所が考える税理士の選び方基準 その1(一般編)
税理士には、他の専門家と異なる特徴がありますので、その点を踏まえて選び方の整理をしてみてみました。
選択基準は、以下の5つです(※ クリックすると展開します)。
他方、依頼者の業界をよく知る税理士ほど、仕事も税務アドバイスも、更には税務調査対応も全て効率的に出来るものです。それゆえ、専門性・専門領域を見極める最初のステップは、自社のことをどれだけよく理解できる(可能性があるかを含め)ことです。
もちろん、特殊な領域(例えば、相続や資産税、不動産、金融取引、海外取引・国際税務、連結納税など)については、当然ながら税理士の該当分野における専門性が重視されますが、その場合にはご自身で見つけるのではなく、知り合いからの紹介に頼るのが最も確実です。
「相続・資産税に強い」と謳う税理士はそれなりにいますが、○○業界に強い、不動産に強い、金融に強い、ITに強い、さらには国際税務も対応出来る税理士を探すのは結構難しいものです(逆に言うと、そんなに数は多くないのが現状)。面談時に確認するなら、「クライアントの業種で多いのは何ですか?」「海外取引に関する税務にも対応出来ますか」などと、さりげなく聞くしかないといえます。
同じように、「融資に強い」「ベンチャー支援」などを強調する税理士ならば、そのビジネス経験として、金融機関出身であったり、ベンチャーキャピタル経験者であったりまします。実地に裏付けされたビジネス経験がどのようなものかを確認することは、経営相談や経営支援を税理士に求める場合には非常に重要となります。
ビジネス経験値の高い税理士を活用する方が、依頼者自身の経営にプラスとなることが実際には多いものです(どうしても目先の専門家コストに目が行ってしまいますが)。ただし、「申告書を出来るだけ安く作成して欲しい」と考える依頼者には、むしろデメリット(=耳障りな存在)になるリスクもありますから、依頼者ご自身のニーズを確認することが重要です。
例えば、会社経営において、お金を借りたら金利が発生しますし、保険を掛ければ保険料が掛かります。それと同じように専門家を依頼したら専門家コストが掛かります。そんな中で経営者の皆さんは、日々、売上を伸ばすにはどうしたら良いか、利益を出すにはどうしたら良いか、などを真剣に考えています(この点は、小さな税理士事務所ですら同じです)。そして、直面する様々な経営課題や問題において常に何らかの経営判断を行わねばならないのですが、その経営判断を失敗する(=判断した内容を誤ることのみならず、判断すべきタイミングを誤ることも含みます)と、それこそ多額の損失が発生してしまいますね。
このような経営リスクを軽減する意味でも、一番身近な税理士を活用するのが有用なのです。税理士は基本的に真面目ですから、経営相談を受ければ役に立てるよう一生懸命考えますから、妥当な報酬を支払いつつ適切なアドバイスを受けるのが実は得策なのです。年間の税理士報酬は、大雑把に言うと年間売上の1%にも満たない水準が一般的です(ただし規模が小さい程、割合は高くなります)。これは、金利コストに比べると全然低いですし、その他のサービス料率と比べても決して高いものではありません。
コストを重視した税理士選びを優先する依頼者もいますが、削減するコストの効果に比べ、プラスの効果(すなわち、付加価値の高いアドバイスが得られるメリットを失うこと)の方が実は高いものです。殆どの税理士紹介サイトでは、こういった説明では自社サイトのメリットを遡及できないことから、「安価な報酬」優先の税理士探しを優先させます。
繰り返しますが、良い税理士選びの基準として、予算を最優先するメリットはそれ程大きくないと言えます。むしろ、他の要素から判断してどうしても気になる税理士を見つけたとき、「これぐらいの予算を考えているが、それで対応することか可能ですか?」と素直に聞いてみるのが一番近道です。
このような業界特質において、規模の大小を税理士選択の優先順位にあげる意味合いはそれ程高くありません。基本的に税理士は真面目で有り、地域に根差した存在ですから、余程のことがない限り看板を下ろしてどこに行ったか分らなくなることはないでしょう(もちろん、ゼロではありませんが。。。)。また、地味ながら成長を目指していますから、年数が経てばクライアント数も増え事務所規模も拡大する方向にあります。従って、小規模零細であろうとも、安心して業務を依頼することは何ら問題ありません。
ただし、特定の専門領域における体制充実や海外ネットワークを重視する依頼者にとっては、やはり大規模な事務所でないと対応が難しい場合もあります。いわゆる監査法人系(”ビッグ○○”と呼ばれるアカウンティング・ファーム)税理士事務所においては、グローバルなネットワークを構築していますから、国際税務や複雑な取引(例えば金融分野など)に対する税務アドバイスなども、十分対応することが出来ます。
一般論ですが、事務所の規模が大きくなるほど運営コスト(特に間接経費)が多く掛かります。業務報酬にどの程度転嫁されるかは各事務所の経営方針や効率性に拠るところが大きいですから一概に言えません。それでも、小規模な税理士事務所であっても、①大規模事務所で十分な経験を積んで独立した、②自力で様々な業務経験を積み上げ大規模事務所に負けない業務知識やネットワーク体制を構築した、などのケースも見られます。そのような税理士事務所に出会えると、依頼者の満足度は高いものになると思われます。
孤独な立場に陥りがちな経営者にとって、経営上の悩み事が生じたとき、真っ先に相談すべき先として顧問税理士が浮かぶ関係を構築できるのも、やはり相性が良いからだと思われます。事務所の担当者のみが対応するようなケースでは、なかなかこういった信頼関係構築が難しくなるのですが、税理士側も「経営者の悩みをしっかり受け止めるのが仕事の一部」と自覚して、経営者としっかりコミュニケーションを取る必要があります。
相性についての方法論は特にないのですが、世代が近いとか、趣味が同じだとかのさりげない要素がヒントになる場合もあります。
ただし、最近の税理士HPは作り込みが皆画一的になってしまい(これも、ある意味ネット・マーケティングの悪影響とも言えます)、なかなか個性や味のあるHPに出会えることが少なくなっていますが、それでもヒントは幾つか散りばめられていますから、そういったHPコンテンツを参考にすることも大切でしょう。
↑上記の選び方基準は、税理士紹介サイトが謳う、”当り障りのない”税理士の選び方と異なる視点で説明していますが、専門家の立場・目線からあえて解説してみました。
当事務所が考える税理士の選び方基準 その2(事務所ビジネスモデル編)
会計事務所を大きく2つに分けるとしたら、①経営支援型と、②事務処理型の異なるタイプ(ビジネスモデル)に区分されます。
どちらが正しいビジネスモデルかは一概に言えませんが、例えば、依頼者ニーズが以下のような場合には、しっかりと経営支援を謳う事務所を選択することが大切と思われます。
■ 経営課題改善・克服ニーズ:「過剰債務を少しでも改善したい」「外国企業との取引増大に伴うリスク管理を強化したい」
事務所タイプ | 要求スキル | メリット・付加価値 |
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経営支援型事務所 (当事務所ビジネスモデル) |
複雑取引への解決能力 高いビジネス経験値 |
経営者に不足しがちな経営判断のヒントを提供 経営者の良き相談相手となれる |
事務処理型事務所 (格安、激安を全面に謳う) |
画一的処理 事務処理の効率化 |
安価な業務報酬 コストメリットの追求 |
いずれにしても、依頼者のニーズと税理士の方向性が噛み合わない場合には、最終的に依頼者の満足度が低くなるので留意が必要です。
当事務所が考える税理士の選び方基準 その3(企業ステージ編)
意外とこのような切り口で税理士の選び方を語るサイトはありません。その理由は、「税理士の選び方」を語るサイトの殆どが、①新規開業者と②コスト削減優先者を顧客ターゲットにするからだと思われます。しかしながら、企業の成長ステージや、企業を取り巻く経営環境によって適する専門家に要求される特徴や優先順位は異なることが一般的にいえることです。
以上を踏まえ、企業の成長ステージや直面する経営環境に従った適切な税理士の選び方について整理してみます。
当事務所の特徴(自己査定)
以上を踏まえ、当事務所はいったいどのような特徴を有するか、また利用者にとってのメリット/デメリットを自己査定してみました。もちろん、第三者の検証を得ていない独自査定につき、その信頼性は100%かどうかは、ご覧なられた皆様がご判断頂くことになります。
以下、自己査定の概要です(※ クリックすると展開します)。検討ポイント | 当事務所の自己査定 | コメント |
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ビジネスモデル | 経営支援型 | 「何でも相談ください」の姿勢で取り組んでいます。その反面、経営者の皆様にもしっかりした対応を求める傾向があります。例えば、資金繰り改善などは口うるさいアドバイスばかりです。決算についても、節税対応 vs.銀行対応のバランスを考えるため、事前の打合せはかなり拘ります。 |
専門性・専門領域 | 複雑な取引、金融・不動産取引に強いです。 ビジネスバックグランドも多面的に築いていますので、どのような業種でも対応可能。 |
設立間もない単純な会社は対応しないのでは?との懸念はゼロです!真剣に事業成長を目指す創業社長をしっかり応援します。 |
ビジネス経験値 | 外国企業対応、再生企業対応、IPO指向型ベンチャー企業対応、ファンド取引対応など、非定型・非日常取引に対する経験値は相当高い。 | むしろ、日本の大半を占める中小企業の直面する様々な経営課題に対して、高いビジネス経験値をもとにした適切なサポートやアドバイスを行いたいと強く考えています。 |
予算 | 税理士業務に関していえば、ごく一般的レベルでは? | とはいえ、”プロサービスにタダはない” と考えていますから、適切な報酬を頂くことがお互いの真剣なお付き合いになると考えています。 |
組織・体制 | 少数精鋭です。それでも地道に体制強化・拡充を考えています。 | 長年の業務経験から、同業者のみならず他の専門家とのネットワーク、連携には自信があります。クロスボーダー取引、再生・組織再編に絡む税務・法務対応、上場会社取引に関連する法的対応なども含め、問題解決の引出しはいっぱいあります。 |
相性 | 基本的に真面目な経営者、成長意欲のある経営者とは話が合います。いずれにしても、話をよく聞くタイプですから、ご安心ください。 | とはいえ、こればっかりは何ともいえませんから、一度お会いしてご確認ください。 |